|
12.八味地黄丸料
[構成] 地黄【甘寒】6、山茱萸【酸平】、山薬【甘平】、沢瀉【甘寒】、茯苓【甘平】各3、牡丹皮【辛寒】2.5、桂枝【辛温】2、附子【辛温】1 主薬の地黄は、補血強壮、解熱、止血剤で、貧血・虚弱に用います。湯本求真の『皇漢医学』には「地黄には止血、利尿、強壮強心、解熱、鎮咳、鎮静鎮痛等の諸作用あるは明なれども、(略)貧血虚弱と臍下不仁とを主目的とし、煩熱その他の症状を副目的と為すべし。」とあります。山薬、山茱萸は強壮、強精、滋潤作用で地黄を助け、茯苓・沢瀉は利尿、止渇作用で地黄を助けます。牡丹皮には血の鬱滞を散じ鎮痛の効があり、さらに新陳代謝機能を高め身体を温める桂皮と附子が配合されています。これらによって腎虚を補強し、尿利を調整し、腎機能を強化します。 [出典および口訣] @『金匱要略』 「脚気のぼって小腹に入り、不仁するを治す。」 『中風歴節病篇』 「虚労、腰痛、小腹拘急小便利せざる者は八味腎気丸これを主る。」『血痺虚労病篇』 「男子の消渇、小便反って多く、飲むこと一斗なるを以って小便一斗なるは、腎気丸之を主る。」 『消渇小便利淋病篇』 A 「産後の水腫、腰脚の冷痛、小腹不仁、小便不利するを治す。淋家(小便の出 渋る者)小便昼夜数十行、終れば少し痛み、常に便心絶えず(いつも小便をしたいという気持ちが取れない)あるいは厠に上らんと欲すればすなわちすでに遺し、(尿意があってトイレに行こうとするとすでに漏れている)咽乾口渇するものは気淋と渉す。老夫婦人にこの症多し。また陰萎、小腹不仁にして力なく、腰脚酸軟(つかれてだるい)、あるいは痺痛(しびれて痛む)して小便頻数なるを治す。また婦人で、白い帯下の多く下りるものにも良い。」 「八味丸の証、その1は臍下を按じて陥空指を没する者、その2は少腹拘急及び拘急陰股に引く者、その3は小便不利の者、その4は小便かえって多き者、その5は陰萎の者、皆之を主る。」 『類聚方広義』尾台榕堂 [証および適応症] 証:疲れやすく、四肢が冷えやすく、下半身に脱力感や痺れがあり、排尿異常があり、(尿量が減少するかまたは多尿で回数が多く、尿が淋歴する)手足の煩熱、または厥冷、口渇、口乾などのあるもので胃腸障害(胃のもたれや下痢)のないもの。 適応証: @腎・泌尿器・生殖器疾患 前立腺肥大、膀胱炎、尿閉・尿失禁(産後・下腹部手術後)、陰萎、男性不妊症(乏精子症)、腎炎、婦人の帯下(老人性膣炎)小児の夜尿症など。 A老人性疾患 老人の疲労回復、足腰の衰弱、歩行障害など。 B全身疾患その他 高血圧、糖尿病、腰痛症、坐骨神経痛、下肢知覚異常、白内障、耳鳴、難聴、頭痛など。 [加減方および留意点] @ 下肢の知覚障害(糖尿病性末梢神経障害)や下肢の浮腫、排尿異常の程度が一層顕著な場合に、牛膝3、車前子3を加えて牛車腎気丸とする。 A 小児や普段からのぼせやすいなど附子や桂皮の副作用の出やすい人で、あまり下半身に冷えなどを感じない人は、これらを除き六味地黄丸とします。 B 疲れやすくて、虚証の人は(腎虚証)は血圧が高くても服用することができます(腎性高血圧)が、釣藤鈎3、黄柏2を加えるとより効果的です。 C卒中体質で赤ら顔の人、筋骨体質で体力旺盛な人には向いていません。また本方を服用後、悪心、嘔吐、浮腫、下痢、食欲減退を訴える時は不適であるので投与を中止します。 |
